九州大学病院検査部

検査部の役割について

國崎 祐哉 2024.04

 2024年4月1日に、九州大学病院検査部長を拝命いたしました國崎 祐哉と申します。九州大学病院検査部は、1957年に中央診療施設の一つとして発足して以来、病院機能を支えている部門です。細菌、生理機能、脳機能、遺伝子、輸血、免疫など多分野に関わる検査を担っており、現在では、年間700万件以上の検査を行っております。加えて、大学院講座である臨床検査医学分野が併設されており、基礎と臨床研究を両立、融合させ、研究成果を新たな検査・診断法の開発に繋ぐことが可能であるという利点を生かし、研究・開発部門としても発展を遂げております。

 中央診療部門こそが出来る臨床貢献と質の高い研究を2つの大きな使命として掲げ、臨床・研究に取り組んで参ります。当院検査部は、いち早く質量分析装置を導入し、新規臨床検査開発を目指した研究を行っていることも特徴の一つです。また、近年では、検査部門として病理部とも一体となった組織を構築しております。これらの利点を活かし、院内採取検体バイオバンクシステムの構築や病理診断と最新の測定技術を組み合わせた空間オミクス技術の診断・検査応用を目指します。更に、バイオインフォマティクスや人工知能を用いたデータ創出のプラットフォームを整えることにより、各診療科における臨床研究の推進にも貢献したいと考えています。

 一方で、最新の遺伝子解析技術、プロテオーム解析技術などの進歩は目覚ましく、臨床検査の多様化、複雑化に対応できる組織管理が必要です。急速に進化する検査の精度と安全性を確保するために、2018年に、「検体検査の品質・精度に関する法令」が制定され、特定機能病院における臨床検査ガバナンスの強化が喫緊の課題となりました。検査部門の組織的な管理、運営を担う臨床検査専門医を育成し、ますます高度化する九州大学病院の医療・研究に貢献し得る部門として発展させていきたいと考えておりますので、皆様のご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

経歴
2000年 九州大学医学部卒業、九州大学医学部第一内科入局
2006年 九州大学医学研究院博士過程終了(医学博士)
2007年 Mount Sinai医科大学研究員
2008年 日本学術振興会海外特別研究員
2010年 Albert Einstein医科大学 研究員
2014年 九州大学病院 遺伝子細胞療法部 助教
2016年 九州大学大学院医学研究院 がん幹細胞医学分野 助教
2018年 九州大学病院 遺伝子細胞療法部 講師
2020年 九州大学病院 遺伝子細胞療法部 准教授
2023年 九州大学大学院医学研究院 臨床検査医学分野 教授
2024年 九州大学病院検査部長